イオンビームスパッタリング装置
IBS (イオンビームスパッタリング)装置の概略
1-1 IBSの原理と装置
IBSはイオンビームによってターゲットの物質をスパッターして、ターゲットに対向しておかれた基板の上にその物質を薄膜として堆積させる方法です。ターゲットの物質の種類を変えることによって、化合物を含むさまざまな種類の薄膜を作ることができます。またイオンビームは、On/Offなどを細かく制御できるので、膜厚の精密な制御や平坦な表面形成,多層膜の形成などが可能です。またアシスト用イオンビームで表面状態を制御します(図1参照)。
図1. IBSの原理図
1-2 IBSの応用例(光通信用光学フィルター)
光通信では、異なる波長に信号を乗せて、多くの波長を束ねて一度に送受信して高速大容量の通信を行うWDM(波長領域多重)通信が行われていますが、そのためには各波長を正確に分離する光学フィルターが重要になります。
図2にIBSによって作成された光学フィルターの透過性能を示します。波長の間が非常にクリアに分離されていることが分かります。
図2. IBSによって作成した光学フィルター(CWDM)の透過特性
図3にIBSによって作成された利得等化フィルター(Gain Flattening Filter)の特性を示します。これはすべての波長が同じ強度に復元されることを保証する光学デバイスです。実際に作成されたデバイス性能(青線)と目標値(赤線)を比べると一致していることが分かります。
図3. IBSによって作成した利得等化光学フィルター(GFF)の特性